メディコムが販売するRAHは、「ガラスの関節」とまで言われるように脆い。経年変化で関節の部品が劣化しやすい。例え未開封品として購入したとしても、足の付け根の関節は癒着しており、無理に動かすと直ぐに部品が捻じれるようにして破損することが少なくない。
これまで、何度も分解しては修理してきた。その経験を積み重ねることによって、素体であるRAH300改の可動構造を熟知するようになる。例え、関節が硬く癒着していても、動かせる方向が分かるようになる。どこを押さえて、どの向きに曲げるのか、その時関節部品に掛かる負荷がイメージできれば、相当の力を入れたとしても大丈夫だ。関節の可動は安全に蘇る。
もう一つの問題は、ウェアーの劣化。特に合成皮革は加水分解によりベタツキが発生し剥離する。その典型例が、ここに紹介するRAH風見志郎だ。合皮のベスト、ベルトは諦めるしかない。しかし、ベストの生地は布であるため、うすめ液で溶かして状態をリセットすることができる。劣化した合皮をガムテープで剥がすことも出来なくはないが、生地を傷めるので止めた方がよい。栄養ドリンクの空き瓶に入れ、うすめ液に漬してシェイクを繰り返せば、劣化合皮は溶けてなくなる。その前に、4個のボタンをはずしておくことを忘れてはいけない。乾燥後には、本サイト定番の「染めQ」で塗装した。皮の質感までは再現できないが、悪くはない。ベルトは、素材自体が千切れて使い物にならない。しかし、100円ショップで購入した合皮シートを切り、こげ茶色のラッカー塗料を塗れば問題なく再生可能だ。このように手間をかけて再生したRAHは、より愛着が湧いてくるというものだ。
RAHの魅力は、自由にポーズが決められること。風見志郎の、大胆なV3変身ポーズを動画を参考にして真似てみた。各関節が、動きを見せなくてはいけない。体の重心が動きに伴っていなくてはいけない。これらを満たした時、本当に動いているかのような姿勢を静止させることができる。
本郷猛も出してきた。挙げた手の側の肩のモーション、体の捻じれ、足の角度と体重の重心を考えて変身ポーズを決めた。いかがだろうか。ところで、RAHを中古で購入した時、手首パーツは未使用のまま付属してくる事が多い。買う側としては有難いのだが、せっかく購入したのなら、付け替えて色々なポーズを取らせてみるべきだと思う。RAHを購入した者が、どれだけ動かして楽しんでいるのか。意外と、その醍醐味を満喫しているユーザーは多くない気がする。
<Toy Data>
・RAH No.199 風見志郎
RAH DX仮面ライダ-V3初回購入特典商品
2004年11月発売 ¥10,290(税込)
・RAH No.496 本郷猛(後期Ver.)
RAH 新1号Ver2.5&新サイクロン初回購入特典商品
2010年12月発売 ¥12,390(税込)
・RAH No.347 本郷猛(後期ver.)
RAH DX仮面ライダー新1号Ver.2.0初回購入特典商品
2008年3月発売 ¥10,290
ウルトラ怪獣のフィギュアといえば、ソフビが定番。キャスト製の方がディテールは優れているが、価格が高く、また扱いが難しい。子供の頃に遊んだソフビ、それが今やリアルな造形と塗装になって、CCPや少年リック、ビリケン商会などで十分に楽しめる。
ところが、仮面ライダーとなると話が違う。一部のメーカーから優良なソフビは発売されているものの、選択肢は少ない。等身大の特撮ヒーローは、巨人のウルトラマンより身近な存在で、しかもウェアーを着れば自分でもなれると思っていた。あのウェアーの生地感、それはソフビと塗装では難しい。必然的に、RAHをはじめとするアクションドールの領域にはまっていく。
今回、紹介するのはタイムハウスのTHM14蜂女だ。そもそもショッカー怪人は、ガシャポンHGでは順調に発売してくれたが、アクションドールの世界では特定の怪人に限定されている。RAHのMシリーズで、幾つかのショッカー初期怪人が発売されているが、今見ると見劣りする仕上がりだ。しかし、RAHのTHMシリーズから素体もNCJからRAH300に変更され、かなり良くなっている。蜂女も、そのシリーズにラインナップされている。
この蜂女、女性ゆえに素体はオビツTH改が用いられている。画像中、最初の3枚がこの素体を内蔵したオリジナルの蜂女だ。かなりグラマーな肢体であるが、ウェストが著しく細かったりドールチックな雰囲気が強い。この素体を、他の1/6女性素体へ変更したいと願望を抱く者は少なくないと思う。実際、他で実践しているサイトがある。今回、交換素体として選んだのは、アマゾンで売られていたもので、Mバスト
FX02- A 2.0 ホワイトという、少々怪しげな商品である。Lバストも選択できたが、日本人らしいMを選択した。
この代替素体は、胴部全体にシリコンが被せられており、関節の隙間があからさまにならないのが特徴である。頭部の装着パーツは、幾つかが用意されており、THM蜂女にちょうど合うパーツが存在しラッキーだった。早速、着せ替えてみた。シリコンの部分だけウェアーの滑りが悪いが、慎重に作業すれば問題なく進む。足首の延長パーツは取り外すとちょうど良い長さになる。
なかなかセクシーでリアルな蜂女になったと思うが、いかがだろうか。
【訂正】最初の3枚の画像について、素体はTHMのオリジナルでないことが分かった。私が、この個体を中古品として購入した時に、既に他の素体に入れ替えられていたようだ。したがって、今回は、2度目の入れ替えとなる。2010.4.18
<Toy Data>
・RAH300 T.H.M.(タイムハウスマニアックス)14 秘密組織 蜂女
・1/6女性素体 Mバスト FX02- A 2.0 ホワイト 2020年 ¥3,399