BLOG-0083 ウルトラ怪獣名鑑 新たなる挑戦編

 

 久しぶりに、ワクワクする食玩の発売。BOXを開ける時に、上からではなく下から、厚紙の接着面を綺麗に剥がすという手間が懐かしい。

 旧来のウルトラ怪獣名鑑シリーズについては、自分としては断片的にしか集めなかった。コンセプトとしては面白かったのだが、造形に納得できなかったからである。全てとは言わないが、原型師が片手間に小遣い稼ぎで作っている雰囲気が強く、例えば、棒のように伸ばした粘土を単純に曲げて手足を作っていることが露わで、手抜き感(あるいは妥協感)が強かったと思う。(ゴジラシリーズについては、この限りではない。)

 また、色違いやシークレット、限定販売など、振り回される仕掛けが多く、それはコレクションの醍醐味とも言えなくはないが、そのためにカスタマーの店頭抜きや、ショップの占有などにウンザリとさせられることが少なくなかった。今となっては、食玩全盛期ならではの懐かしい思い出話である。

 そんな記憶も忘れようとしていた頃、“新たなる挑戦編”としてウルトラ怪獣名鑑がリスタート。ラインナップに入るケムール人からタイトルを取っているところは、ガシャポンHGシリーズのようだ。商品のサンプル画像を見た時、前シリーズの不満を払拭するようなクオリティーが感じられたので、迷わず予約した。

 さて、開封してみた第一印象は、正直に言って微妙だ。あまり大きな感動はない。まず、思ったより小さいと感じた。フィギュア自体を比較すると、旧シリーズと同程度かもしれないが、ジオラマ台座部がコンパクトだという印象である。1個918円(税込)の商品が、このサイズかと思ってしまう。しかし、よく見れば、最も重要な造形に関してはモールドが精密で、例えば、ACROのKRS35が展開している同サイズのフィギュアより圧倒的にリアルだと思う。おそらく、原型は少し大きく作られていて、3D技術でダウンサイジングしているのであろう。最新技術の駆使は、さすが大手のバンダイである。塗装はアナログだが、巧みに施されており、サイズを割り切って考えれば驚くほどのクオリティーである。大きさについては、今後展開していく予定の数量を見据えた1品当たりのコンパクト性、中国で高騰した材料費・人件費コストなど、あらゆる事情を検討したうえで導き出されたフォーマットと思われる。横一列に、隙間なく整然と並べられるところなど、結果的には満足している。

 今後の展開に、いささか心配もある。カスタマーが盛り上がれるのかどうか。食玩としての量産品なので、店頭で売れなければシリーズが先細りになり中断しかねない。単価から考えて、ブラインドBOXでは売れ難いだろうから、中身が分かるパッケージとなっている。そうなると、人気怪獣の買い占め・転売、不人気怪獣の売れ残りが発生する。
 また、コレクションはカートン買いして着実に進めることが出来ても、なかば義務的に購入していくだけの格好となり、旧シリーズのような盛り上がりに欠けるかもしれない。別の心配もある。それは、ウルトラQというモノクロ世界のフィギュアだからこそ、塗装でリアリティーを出すことは比較的容易である。しかし、ウルトラマンシリーズなど、カラー彩色に移行した途端に、塗装の難易度は増す。その時の、ガッカリ感が怖い。果たして、同じ単価で出来るかという事も合わせて懸念される。また、格闘シーンや、複数の宇宙人が立つ場面なども同様に可能なのか。この辺りは全く未知であるが、メーカーからは、ある程度のロードマップを示して欲しい気がする。

 

Toy Data
ウルトラ怪獣名鑑 新たなる挑戦編
㈱バンダイ 2019年2月発売 ¥918(1個)