1970年代のスーパーカーブームが起ころうとしていた頃、池沢さとし作の「サーキットの狼」の中で、飛鳥ミノルがオレンジ色のミウラP400に乗って登場した。おそらく、この場面が当時の日本人にミウラの存在を初めて知らしめたのではなかろうか。
ミウラというと、いかにも日本的な名称だが、著名なスペイン闘牛飼育家ドン・アントニオ・ミウラにちなんで命名されたそうだ。ランボルギーニのエンブレムはバッファローである。
トラクターの製造で大成功を収めたフェルッチオ・ランボルギーニは、フェラーリに対抗すべく1966年3月にジュネーヴ・モーターショーでミウラを発表した。流れるようなサイドシルエットは、ベルトーネの手によるデザインだ。V型12気筒エンジンをミッドシップに横置きし、350馬力を発生したとされる。
ルーバー式リアウィンドウは、ミウラが初めて採用した自動車の構造で、隙間からエンジンが覗く。ボディ後端に取り付けられたマフラーカッターは、エキゾーストパイプと連結されておらず、この部分が咆哮のような排気音を作り出していた。ミウラは、改良やマイナーチェンジが続けられるが、P400は1969年までに計475台が生産された。
ミウラ一番の特徴は、まつ毛が付いた愛嬌のあるヘッドライトだろう。但し、この仕様は交通事故の際に危険であるという理由で、マイナーチェンジ後には付属しない。このダイキャストカーはミウラのライトをポップアップできる。通常のリトラクタブルヘッドライトとは、仕組みが異なる。この目玉は、実はライト自身ではない。中にライトが固定されていて、それがレンズカバーで覆われているのだ。目玉の平常時の角度を水平(上向き)とした場合、中のライトは約45°の角度で固定されている。そして、目玉が45°起き上がると、中のライトは約90°の角度になり前方を照射することが可能になるという仕組みだ。したがって、目玉が90°まで起きることはない。
このダイキャストカー、なかなかの再現度だと思う。カウルやドアの開閉ギミックが嬉しい。ホイールもリアルだ。ミウラのボディーカラーは、このイタリアンレッドとゴールドのツートンが、私の中では定番となっている。
Toy Data
1/18 ランボルギーニミウラP400 京商 2006年発売