なぜ、日本ライン下りか。それは、ウルトラセブン第44話「恐怖の超猿人」を思い出して欲しい。その撮影ロケは、愛知県犬山市のモンキーパークで行われた。ポインターを持ち込んでの撮影だった。
http://www3.plala.or.jp/bubuta/go-out-shot/go-out-shot-20.html
夜中に停車中のポインターの電気系統が何者かによって壊されてしまう。モロボシ・ダンは、「別に異常ありません。ただ、ポインターが故障して、今夜こちらで一泊したいんですが。」とビデオシーバーで本部へ連絡。その後、アンヌがゴーロン星人に襲われ異常を悟ったダンは、本部と連絡をとろうとするアンヌに向かって「ポインターが使えない。間もなく夜が明けるだろう、向こうを降りて日本ラインを下った方がいい。」と言う。ビデオシーバーを使うかモンキーパークの電話を借りればよいのに、という突っ込みは置いておいて、アンヌは本部と連絡をとるためにライン下りの船に乗船する。この展開には、名鉄観光㈱のスポンサードによる事情がある。
当時、ライン下りの運営会社は3社あったが、現在は木曽川観光㈱1社である。経営状態が芳しくないのである。今回、仕事で乗船する機会があったので、その画像をお届けしたい。実は、近くにいながら初めて乗船した。
話は脱線するが、「ライン下り」と呼ばれているのは、険しい渓谷を流れるこの地域の木曽川の景観がドイツのライン川に似ていると言われたことに始まる。一方、この木曽川沿いは地質学的にも有名な場所で、美濃帯というチャートの褶曲した岩盤層が川原のいたるところに露出している。チャートとは深海底に堆積した放散虫の死骸等が岩石となったもので、木曽川沿いのチャート層は古生代から白亜紀に太平洋プレートに乗って列島上に乗り上げたものである。第44話では、心配してホーク1号で駆け付けたキリヤマ隊長たちが、このチャート層を渡って逃げて来るアンヌを助ける場面もあり、知る人が見れば大感激ということになる。