BLOG-0059 中嶋製作所のタイガーマスクソフビ

 ガシャポンHGシリーズに魅了されて13年。以来、食玩やフィギュアブームに乗っかり、あれこれ集めてきた。常に自分が求めたものは何か、答えは写実性だ。今の時代になって、自分が子供の頃に欲しかった劇中そっくりのフィギュアが次々と発売された。それらを、大人の経済力で購入することができる。

 最近、購入したものに中嶋製作所(現ナカジマコーポレーション)のタイガーマスクソフビがある。それは、メディコムトイの働きかけにより復刻されたものだ。タイガーマスクは実写ではなくアニメだが、それでもリアルという価値観は存在する。二次元の世界に描かれたタイガーマスクだが、我々の脳内には三次元像として焼きついている。

 中嶋のタイガーマスクはソフビ人形である。この手のソフビは、マルサンやブルマァクのウルトラ怪獣シリーズと同様、非リアルで玩具的な商品が多く、原則的に自分のコレクションとしては対象外になる。しかし、中嶋タイガーが復刻されると知って物凄く欲しくなった。その理由は、子供の頃の記憶にある。懐かしいという気持ちの他に、何か当時と同じような物欲が蘇った。このタイガーマスク、顔が似ているかどうかの問題はさておき、ある意味でリアルだと思う。マスクは着脱できるし、ブーツも履いている。マントも着脱できる。子供の頃、自分は中嶋タイガーの、そんなコスチュームのリアル度に感激して欲しくなり親に買ってもらったに違いない。

 自分の家には、同じく中嶋から発売されたリングが現存している。最近は、こちらも復刻されている。ソフビのレスラー達を戦わせるリングまで発売するとは、中嶋製作所の商業センスは素晴らしかったと思う。リアルな遊びをするための大道具まで提供してくれたわけだ。我が家に残るリングには、マット上に色々な色がこびり付いている。ソフビの塗装面が当たって色写りしたものだ。このマット上で、数々の名勝負ごっこが行われたことだろう。

 幼児にとってのリアルとは、大人の感覚とは少し違うのかもしれない。もし、当時発売された中嶋タイガーの外観が劇中とそっくりだったとしても、マスクを取れず可動箇所もなければ、大人なら満足するところを幼児はリアルだと感じなかっただろう。では、中嶋タイガーの外観は似ていないのか。答えはNOだ。TVアニメ版のタイガーマスクは原作のデザインをリタッチして新設定されている。原作の方では、タイガーマスクの顔は丸く、伊達直人の顔はふっくらとして目が大きく可愛らしいのである。中嶋タイガーは、原作と比較した場合、実はリアルだったのである。

 しばらくして、バンダイから仮面ライダーのソフビ人形が発売される。中嶋タイガーと同様に、マスク・マフラー・ベルト・ブーツ着脱という意匠を備えている。爆発的なヒットを遂げた中嶋タイガーの仕様にあやかろうとしたことが分かる。マスクを脱がせた愛嬌のある顔も、本郷猛の顔とは全く異なり中嶋タイガー的であるが、それは中嶋と違って実は何の根拠もないナンセンスな造形なのだ。また、バンダイライダーは股を閉じの手のひらを外へ広げ、中嶋タイガーの逞しい体形から大きくかけ離れた、いかにも軟弱な容姿を採用した。マーケットではさほど影響が出なかったかもしれないが、実は中嶋タイガーのリアル路線から大きく脱線した商品であったと言うことができる。

 自分が子供の頃の写真に、買ってもらったばかりのバンダイライダーを手に持っている1枚がある。その時は嬉しかっただろうが、何か物足りなかったのかもしれない。なぜなら、このライダーもユニファイブから復刻されているが、もう物欲が沸き上がってこないからである。

 

ToyData

タイガーマスク

中嶋製作所 1969発売 480円

 

タイガーマスク(初期型きいろ2期 復刻版)

メディコムトイ 2012.03発売 7,800円


タイガーマスク(後期型オレンジ 復刻版)

メディコムトイ 2012.08発売 7,800円

 

ゴールデンマスク(復刻版)

メディコムトイ 2012.07発売 6,800円