BLOG-0055 特撮博物館

 平成24年7月28日(土)、久しぶりのGASHATECH東京オフ会を開催することが決まった。幹事の取り計らいで、日程をイベント開催日に合わせてもらえたので、オフ会の他にも充実した内容の1泊2日の旅ができた。 そのイベントとは、「特撮博物館」とワンダーフェスティバルである。ここでは、まず東京都現代美術館企画展として行われている「館長 庵野秀明 特撮博物館」のレポートをしたい。

 「特撮博物館」の広告には、何故かエヴァンゲリオン・庵野秀明・巨神兵と記されている。その理由は、今回の企画展に合わせ、エヴァシリーズ等の監督を務める庵野氏が9分03秒という短編特撮映画「巨神兵東京に現わる」を製作し、そこに「風の谷のナウシカ」に登場した巨神兵を実写で登場させているからだ。庵野監督自身、幼少期からこよなく愛してきた特撮に、現在の創作活動の原点を置いている。その庵野氏を館長に迎え、彼の短編作品上映とともに息のかかった企画展全体が具現化したということになる。

 この作品の特撮監督には平成ガメラ作品などで知られる樋口真嗣氏を起用しているので、CGを一切使わずして特撮ファンを十分に満足させる仕上がりとなっている。また、特撮をよく知らない人、女性、若者達を引きこむための魅力を十分に秘めた内容にもなっている。特に、展示の途中に設けられたメイキングビデオのコーナーでは、スタッフの高い制作意欲が伝わってきて、とても面白かった。

 さて、この作品が今回の企画展の導入や呼び込みの役割を果たしているとすれば、本当の中身は何か。それは、企画展のサブタイトルに掲げられた通り、“ミニチュアで見る昭和・平成の技”である。映画やテレビで活躍したプロップやデザイン画など約500点が展示されていて圧巻であった。現在も巡回されている「ウルトラマン創世紀展」などに出展された「西村コレクション」は、近年に方々で見る機会があったが、今回の「特撮博物館」のコレクションは、全く別の一群であり新鮮だった。特に印象に残ったものは、メカゴジラの全身スーツ、電子頭脳、マグマ大使ロケット、わだつみ号等々である。また、通常は真近で見ることもない電柱の模型なども興味がひかれた。また、オプティカルプリンターによる合成技術や、特撮のための創意工夫やアイデアも紹介されていた。他にも思い出せないくらい多くの展示物があり、もう一度行って見てみたい欲望にかられるほどだ。

 今や、デジタル技術によるCGなどの多用により、特撮本来の姿は失われつつある。しかし、「特撮博物館」の展示は、日本が世界に誇る映像の技や特撮の魅力を改めて認知させ、若い世代へも強烈にアピールしていた。今だからこそ、非常に意義のある展示だったと思う。実に素晴らしかった。

 今後、「特撮博物館」は企画展のみで終わってしまうのではなく、どこかに常設の博物館として出来ることになれば、とても面白いことではないかと思う。各コレクションを統合して、資料の保存と活用がなされていくことになれば素晴らしい。

 館内は、当然のごとく撮影禁止。唯一、特撮ジオラマのコーナーのみ撮影が許された。細部まで事細かく表現されたミニチュアに、なぜ特撮が見る者の心をワクワクさせるかの答えを見つけた気がする。