本シリーズのエレキングは、先にブラックVer.なるものが発売され、今回、上陸戦・水上戦Ver.という、2種の彩色版が発売された。本命を先送りし、異カラー版を先行販売するという商法だ。彩色Ver.のサンプルが姿を現したのは、2009年夏のスーパーフェスティバル会場。鼻から頭部への黒色帯処理に違和感があったものの、体色全体の塗装は特に不満を生み出すようなものではなかったはずである。
ユーザーの関心は、上陸戦Ver.に傾いた。メーカー側も、それを予測してか上陸戦Ver.を直販限定としている。エレキングの体色は、劇中の映像から大きく二つのイメージがある。それは、白色と黄白色である。フィギュア商品においても、これらの配色は意識され始めて久しい。体色の違いは、スーツが2着存在したということではなく、撮影中に変色したというのが通説である。通常とは逆に水上シーンを先に撮影したことにより、ウレタンスーツが白色から黄白色に染色されてしまったらしい。
CCPエレキングの上陸戦Ver.は、後者の状態を固定したものだと思われるが、この色変化を土汚れによるものと思い込んで塗装しているところに問題がある。彩色サンプルでは特に疑問は感じなかったのだが、量産品を手にした時に落胆した。成形樹脂色の上全体に、お得意の土色が万遍なく被せられ、しかも部分的に大胆に拭き取っているのだ。格闘の度に汚れていく部分があっても良いと思うが、出来上がった上陸戦Ver.は全く記憶にない、存在していないはずのVer.にしか見えない。
そこで、水上戦Ver.はどうだろうか、気になるところである。どうやらコストの問題から、本体のデフォルト色は成形色に依存することになったようだ。成形の樹脂色だと、特有の光沢と若干の透明感があり、そこに黒斑と黒帯の塗装オンリーでは、いかにも安っぽい雰囲気になる。中国工場から上がって来た製品は、直ちにCCPで手が加えられ、全体に弱く陰影を出すよう塗装が施された。ブラシを対象へ強く斜めに当てるか、拭き取りも兼用したように見受けられる。その結果、社長も言っていたが、今回のエレキングは正直に言って水上戦Ver.の方が大きく改善されたのである。
造形など基本的な見解については、先に上陸戦Ver.のブログ記事で紹介している。あとは、画像を比較すれば違いは一目瞭然だろう。両者ともにであるが、鼻先から後ろ側への黒色帯の塗装には、依然、問題を感じる。量産品では難しいのだろうが、マーカーペンによる点打はハイエンドフィギュアに似合わない。これも、価格設定故の問題であろう。
両Ver.のCCPエレキングを手にして、ずばり、今回の買いは水上戦Ver.であると言いたい。
Toy Data
1/6特撮シリーズ CCP
Vol.022 宇宙怪獣エレキング 水上戦Ver. 2010.05 ¥9,870