今回の四足歩行怪獣は、怪獣無法地帯×CCPシリーズからのリリース。元々はガレージキット用に製作された怪獣無法地帯の原型を、CCPがソフビ化していくシリーズだ。このシリーズは、もう発売されないと思っていたが、ウルトラ怪獣コンプリートを補完するために存続させていくようだ。
原型のソフビ化の過程には、縮小や変形、モールドの損失などのハードルがあり、キャストキットと同じようにはいかないらしい。今回のグビラも、両キットを同じ俎板の上で比較すれば差は歴然になろうが、単体で見る限り苦になる部分は少なかろう。形成の都合で顔面の部分が大きく分割されているため、嵌めこみに段差や体表文様のズレが生じていたりするが、さほど目立たないよう接着・パテ埋めされている。
造形については、定評のあるガレージキットブランドだけに優れている。柔らかくブカブカした感じの着ぐるみがリアルに再現されている。一つ残念に思う点は口だろうか。劇中では口が開き歯が見えるシーンがあるが、フィギュアの方もここを分割して、やや開いている状態を再現して欲しかった。
さて、塗装が問題である。巷では汚し過ぎだとする意見が目立つ。確かに、スチル写真や劇中の映像では、ウルトラマンとの激闘で土埃を被っていくにしても、これほどまでの汚れには至らなかった。また、表皮は本来光沢を放っており、汚れても部分的には光っていて如何にも水中生物らしい。その他、黄色部分の色調もプロップと異なるように見える。
フィギュア彩色完成品に汚しを加えることは、ある意味勇気の要ることであるから、その実行は歓迎されるべきものと思っている。その汚し加減も趣向が分かれるところであるが、最近の同社ソフビのなかでは、ウルトラの父ハイグレードVer.やヒッポリト星人を好例として挙げたい。逆に、エレキング上陸戦Ver.では疑問符を打たざるを得なかった。今回のグビラの汚しについては、劇中の状況と比較すると過剰であるものの、個人的な怪獣観では受け入れられる範疇である。それによって、クオリティの向上に寄与していると思われるからである。なお、今回のグビラの汚し塗装は、白く反射し易いため撮影の環境次第では白く強調されて写る。実際に手にしてみた瞬間、予想外に好感の持てる汚し具合であったことを再度、付け加えておきたい。
Toy Data
怪獣無法地帯×CCPセレクション
Vol.008 深海怪獣 グビラ 2010.6 ¥9,870円