BLOG-0019 「海のエジプト展」公式カプセルフィギュア

 2009年8月22日、横浜で開催中の「海のエジプト展」を訪れた。パリやトレノなどを巡回し、日本で公開されることを知った直ぐ、必ず行こうと決めていた。夏休みということで、家族旅行の計画に含めて実現した。

 海のエジプトとは、古代都市アレクサンドリア、カノープス、ヘラクレイオンの海底遺跡のことである。これらの都市は実在したもので、幾つかの歴史書にはその場所を訪れた紀行が詳細に記されている。しかし、何処に存在したのかは長く不明であった。20世紀に入り、現在の海岸線にこだわらない範囲での推定が始まり、空軍機からの遺構の発見、研究者による遺物の発見があった。

 今回、フランス人の海洋考古学者フランク・ゴディオ氏は、過去のあらゆる情報を集め、幅広い人脈を活かして各分野の専門家とともに最新の技術をもって発掘プロジェクトを計画したのであった。調査が始まったのは1992年のことである。その結果、地震や津波によって8世紀までに水没してしまった3大都市の遺物と遺構を発掘し、大成功を収めたのである。発見当時、海底でダイバーの照明の先に現れるファラオ像や、海中から引き上げられる王妃の像をニュース報道で見て、自分の目を疑ったものである。それほど信じられない、驚異的な大発見であった。
 遺物の素晴らしさは言うまでもないので、ここでは私的に疑問だったことを述べることとしよう。出土した石造物は、どれも破損している。地震や津波による倒壊によって壊れたのではなさそうだ。人為的に、スフィンクスの頭部や人物像の顔面が狙われて破壊されている。つまり、これらの都市はキリスト教徒が入り込んだり、後にローマ帝国によって支配されることになる。そういう過程で、遺跡は尽く破壊されていたのである。そのような時代を経て、天災により海底に埋没したというのが遺跡の現状だ。だから、ポンペイ遺跡のように往時の様子が、そのまま残されているわけではないのだ。しかし、建物や施設の位置は元位置を保っている場合が多く、計画的に整備され機能した古代の港や宮殿などの姿が明らかになったことは、重大でかつ素晴らしい発見であったことに間違いはない。

 さて、会場限定販売であるフィギュアの方はどうだろうか。残念ながら11種全てを揃えることはできなかった。手持ちの9種での感想である。価格は300円、大きめの球型カプセルに帯巻という、今では海洋堂の定番スタイル。内容は、お得意のビネットタイプとフィギュアタイプが混じる。巷の一番人気は、水の封入されたスノードームで、確かに面白い試みだ。また、ハピ神像と向かい合うダイバーも人気が高く、これこそが今回の展示の最も印象深いイメージシーンである。

 自分自身が気に入ったのは、むしろフィギュア単独系で、特にプトレマイオス1世とクレオパトラ7世のコインである。実物より一回り大きいが、とてもリアルで、実際に金属で作られている。専用のディスプレイスタンドも嬉しい。このように、フィギュアの対象が文化財の場合、版権はどのようになっているのか。台座の裏面には、しっかりと“フランク・ゴディオ”氏と調査に出資した“ヒルティ財団”の名前が刻まれている。記録と保存という調査の基本目的の他に、事後の演出のための映像記録や資金回収のプラン、ビジネスという、全体計画が非常に綿密に行われていたことにも感心する。将来的には水中博物館の構想を唱えるメンバーもいるようなので期待したいところではある。@2009.08.25

 

海のエジプト展 海底からよみがえる、古代都市アレクサンドリアの至宝

2009.06.27~09.23 AM9:30~PM6:00 於 パシフィコ横浜

 

Toy Data

海のエジプト展公式カプセルフィギュアコレクション全11種 2008.06. 海洋堂 ¥300