カネゴン繋がりで、もう一つ。この2体のカネゴン、どちらに軍配が上がるのか。
究極大怪獣3でリリースされたカネゴンは、旧パイロットエース陣営が手がけたものである。同社の原型は、プロップスーツの再現に徹したものと受け止められる。スーツのどの位置にアクターの身体部位があるのか、そんなことさえも忠実に伝わってくる、それがパイロットーイの魅力である。また、彫刻等で荒削りしたばかりのような仕上げ方も特徴である。この荒々しい作風は、やはり手作りスーツの質感を上げる。
究極大怪獣のカネゴンを手に取った時、造形的には裏切られることはなかった。頭部の大きさやマスクの継ぎ目など、ダイナミックに再現されている。やや強調気味なのだろうが、そこに製作者の主張が見えている。口のファスナーの位置や形状も、「創絶」より正しいと思うし、柔らか味があり立体的である。着ぐるみ故の不都合な箇所を見逃さずに忠実に表現する、そこが高く評価できる。
しかし、残念に感じたのは塗装だ。ちょうど、この頃はフィギュア品質の低迷期であり、コスト縮減が塗装の色数にダイレクトに影響した。成型色の上に僅かに汚しが施されているだけなのは、「究極」として余りにも悲しい。
「創絶」は「究極」と比較すると、正道に沿い真面目に造られた印象を受ける。一昔前のフィギュアでは成し得なかった品質をもつが、無難にまとめられている感じがする。マスク上面に付けられた三角形のトゲ状の突起も、先端が丸くなるなど玩具としての妥協も認められる。「究極」の対象年齢が15才以上であるのに対し、「創絶」は6才以上という造形上の制約もあろう。ただ、塗装に関しては「創絶」に軍配が上がる。カネゴンの色調については諸論があるが、若干メタリックな彩色を施していることが特徴である。エアブラシで陰影も付けられており重塗装だ。
ハイパーシリーズから始まる当フォーマットは、価格の改定も重ねたが最近になって怪獣系もしっかり塗れるようになった。ファイナルを打ってしまった「究極」と比べてサイズは一回り小さいが、コレクター側では同系列、続編としての期待があり、シリーズを安定させ今後も継続して欲しいところである。
Toy Data
究極大怪獣アルティメットモンスターズ 第3弾 バンダイ 2007.10 ¥700
HDM創絶ウルトラマン 遊星から来た兄弟編 バンダイ 2009.07 ¥380